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2011.09.12

人見知り

この歳になって恥ずかしいのですが、私はどぎまぎすることが多いのです。
落ち着きはらって何事にも動ぜず、立て板に水のごとく話せる友人を
若い頃から、いつも羨ましく思っていました。私は、いつもあたふた。

先日、茨木のり子の詩を読み、ああ、これでもいいんだなと気持ちがすとんと楽になりました。



大人になるというのは
すれっからしになることだと
思い込んでいた少女の頃
立居振舞の美しい
発音の正確な
素敵な女のひとと会いました
そのひとは私の背のびを見すかしたように
なにげない話に言いました

初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちてゆくのを
隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました

私はどきんとし
そして深く悟りました

大人なってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてもいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている。きっと…
わたくしもかつてのあの人と同じくらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです



今日は中秋の名月。
過ぎ来し方を振り返ってみます。


清冽―詩人茨木のり子の肖像




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